グランパの日記Akihata's Diary [登山mountaineering]
爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳、五竜岳縦走②
鹿島槍ヶ岳(2889m)、五竜岳(2814m)
地図:国土地理院1:25000神城、白馬町
昭文社:山と高原地図36鹿島槍・黒部湖
7月26日(木)曇のち雨
4時過ぎ、隣りがガサコソして目を覚ます。トイレに行って排便、ここにはペーパーロールが用意されていた。お湯を作ってポットに入れておく。朝日は雲の中から現われる。小屋からちょっと高くなった広場で、しばし眺めてから出発。前方には3つの山が見えていた。鹿島槍の双耳と五竜そして唐松岳。
左から鹿島槍南峰、北嶺、五竜岳、唐松岳
右の遠見尾根と合わせて竜の背中に見えるという。山の名前は、山頂付近の岸壁が武田菱に似ていることから御菱と呼び、五竜になった説や、後立山の後立から「ごりゅう」になった説がある。
準備運動してから、ストックをしまい、昨日と同じ順番で歩いたが、高山植物の群落に出会い、デジカメに収めるためトップかトリを務める。朝露をはじくように咲いているチングルマに魅せられる。テント場に出ると、左手に立山連峰と剣の雄姿が立ちはだかっていた。去年は向こう側からこっちを眺めていた。クルマユリやイワカガミが咲いている。
遭難碑に合掌する。
布引山から先が見えてきた。
6時、布引山。山名は、初夏の残雪が白布を引く形に似ていることからつけられた。降りていくとイワツメクサを見つける。
イワツメクサ
鹿島槍、中央、南峰、右、北峰
ハイマツ帯の急斜面をジグザグに登って、さらに1時間後、鹿島槍の南峰を登頂。
東側は雲海が張り巡らしていて視界が悪いが、西側はくっきり見えていた。
一服してから、一気に降り、北峰を巻いて行く。高い南峰の方を既に登っていること、先が長いからだ。今度は鎖を使ったり、かなり神経を使うようになる。右手の方は、断崖絶壁で冷風が吹き上げてくる。
足元だけ見て歩けば、気持ちいい。岩からけなげに咲くイワギキョウを見つけると、つらい思いも消えてしまう。
9時15分、八峰キレットに着く。ベンチでチラシご飯を半分食べておく。
ここの小屋では、水は泊まり客にしか提供していなかった。アクエリアスを買っておく。30分後、出発。リュックを身体にフィットさせ、昇り降りを繰り返す。
12時20分、高度2590mの口の沢コルで残飯を食べる。北尾根の頭まで150mほど登り、岩場を越え、鉄梯子や鎖を使い、3点確保を続ける。いつも左に巻くので、右腕を使う。鹿島槍へのルートなら当然、鎖があったところもない。一度、ごく僅かの足場を頼りに横這いになって壁を通る。岸壁が弱いせいか、なにもない。一歩一歩ゆっくり足と手を使って移動する。思いも寄らぬ厳しいルートが続き、時間がかかっていた。水も後、一登りと思って飲んでしまったら、未だ続く。MIが余分に持っていたので100ccほどもらう。岩の間からミヤマオダマキが足元に注意せよとうつむいていた。
何度も峰を通り過ぎ、次こそ五竜と思った。何度か騙された気持ちになり、惰性で前に進む。鋭鋒だと、せっかく登っても、再び同じような標高差の降り。疲れる。中腹を登っていたら、上に別の青年が我々を見ながら休んでいた。一登りしてリュックを置いてピークに向う。先行していた青年は既に登り終えていた。
14時30分、追に登頂。五竜岳の奥深さに敬意を表して三角点に手をあてる。
景色を眼に焼き付けてから戻る。厳しいルートを通ったせいか鎖場は安心して降りられた。
16時20分、五竜山荘。
11時間以上かかっていた。ベンチに座り、深呼吸してから、しばらく休む。ここの宿泊手続きも若い女性がやっていた。「山と渓谷社」の字が書かれた靴袋に靴を入れて持ち込む。我々は部屋「チングルマ」の上段に入る。唐松岳から来た青年が横になっていた。ほかに1人、しめて7人がアサインされていた。ふとんの数は8つあり、最大人数は16人と書いてある。寝場所は鼾をかく人を奥にして、私は他の客の隣りにする。夕食の順番は17時40分、それまでマットを敷いて酒盛り。
隣りの客は、今日ずっと先行していた青年だった。自炊を済ませて帰ってきた。ブランディをご馳走する。秋田県大館出身で31歳、伊良部選手に似ている。25歳で出来ちゃった結婚、6歳の一人息子がいる。交通費3万円かけていた。白神山地、NHKプロジェクトX、唐桑半島のことなど、話が合う。「皆さん、格好良いですね」なんだか、こそばゆい。確かに皆、あくせくせずに楽しんでいる。「我々の反省なんだけど、いまのうち息子と付き合っておくべき」「一人っ子は良くない。といっても今から出来ても、年齢差があるから兄弟のように付き合っておくと良い」だの、いらぬお節介を言う。
今日の夕食は、カレーライスと味噌汁、ツマミにカットオレンジ。ご飯が美味かった。味噌汁とカレーライスをお代わりする。ここは白馬館の経営だった。食後、外のテーブルで残りの酒を飲む。M弟はダウン。一番若いが、一年振りの登山で、こたえたようだ。
8歳の女の子が家族と一緒にいた。視界不良、ポツポツ雨も降り出したので中に入る。交差して寝る。寝相が悪いのでインナーシュラフの中に潜って寝る。
一度、目を覚ましたら、未だ22時過ぎ。身体全体がだるく、寝苦しいまま時が経つ。
7月27日(金)晴
4時前、隣りでガサゴソ音がして目を覚ます。通路に明かりがついた。大館の人は早々と居なくなっていた。排便、洗面を済ませる。右腕を酷使したため、右肩がはっていた。朝食は5時からだが、30分前から並んでいた。水を補給したりしてから並ぶ。
5時、Hの工作が成功したのか、団体より先に席につけた。味噌汁付きの朝食。美味い。
6時前、出発。未だガスがかかっていた。アズマギクが咲いている。
ガスが切れて五竜岳が見えた。足元にはコバノコゴメグサが咲いていた。
白岳を登っていく。唐松岳との分岐点を右折、頂上を巻いて降りていく。今度は鹿島槍ヶ岳が見えてきた。
足元にはショウジョウバカマを見つける。
先行の老人ハイカーを追い抜いていく。遠見尾根で鎖を使ったり、岩場をジグザグに降りていく。五竜岳から鹿島槍へと、今まで歩いて来たところを眺める。もう二度と行けない。 西遠見山、そして大、中、小の遠見山と、昇り降りを繰り返しながら高度を下げていく。小遠見山で一服。冬、遭難した人の碑があった。ダケカンバ、ナナカマドの木々が多くなり、ハクサンシャクナゲの白い花が咲いていた。途中、窪地に残雪があり、溶けて池になっていた。手を入れてみる。
殆ど休むことなく、降りていく。オオバキボウシやコメツガの木々も増えてきた。地蔵ノ頭に着く頃から登りのハイカーに会う。リフトが動いていたが、スタッフがいない。そのままアルプス平に行く。トリアシショウマやコメツツジが咲き、散歩道として整備されたところには、イブキジャコウ草を植えていた。
降りていくと可憐な紫の花を咲かせていた。
9時32分、テレキャビンに乗って、「とをみ」駅まで降りる。標高差700m。反対側のゴンドラには登山客が次々と運ばれていた。
駅を降りて広場に向かう。タクシーが1台見えたので2本指を立てる。「何人ですか」「5人」「5人なら一台で乗れます」1台を扇沢、1台を市営浴場にする必要はなかった。青木湖、木崎湖、大町温泉郷を走って駐車場まで乗っていく。チップをはずんで11000円払う。レガシー車は無事だった。大町市民浴場に行ったら、ビールなどは持ち込みスタイルで、売っていなかった。近くの「薬師の湯」に入る。洗面洗髪を済ませてから露天風呂につかる。朝日を浴びながら疲れを癒す。座敷で生ビール2杯、漬物、枝豆、最後に山菜ソバを食べて帰る。
Kashimayarigatake(2889m) border of Nagano pref. and Toyama pref.
100Famous mountains in JapanGoryudake(2814m) border of Nagano pref. and Toyama pref.
100Famous mountains in Japan
1. Access:car is better. Chuo ,Nagano expressway ToyoshinaIC→pref.road57,147,326
2.Accommodation:Goryu lodge(0261-72-2002)one night two meals 8600yen
3.Information::Ohmachi town office(0261-22-0420)
4. Season:Jul to midOct
Records:Jul26
4:45-6:00 Climb to Nunobikiyama(2683m).
6:05-7:05 Climb to KashimayariSouth(2889m).
7:10-9:15 Down to Yatsuminekiretto(2518m) using chain and Kiretto lodge.
9:45-12:20 Climb and down to Kuchinosawa col and take meal.
13:00-14:30 Climb sharp ridge to Goryudake(2814m), using ladder and chain.
14:50-16:20 Down to Goryu lodge(2480m) and stay.
Jul27
5:55-7:20 Down Toumi ridge to Ohtoumi(2106m)zigzag using chain.
7:25-8:15 Down zigzag Nakatoumi(2037m),Kotoumi(2007m).
8:25-9:30 Down to Alpsdaira station(1530m).
9:32-9:40 Down 700m descent to Toumi station by Telecabin.
9:50-10:20 Back to starting point(near Ougisawa) by taxi.