グランパの日記Akihata's Diary [登山mountaineering]

         トムラウシ山・大雪山縦走②

                 忠別岳(1962.6m)

地図:国土地理院1:25000トムラウシ山

   昭文社・山と高原地図③大雪山

7月24日(土)

外は突風と雨だった。朝食をとって6時に出る。20分かけて尾根に戻り、広い尾根を登っていく。

7時45分、忠別岳登頂。

014.JPG忠別岳頂上

        吹きすさぶ中花見つつ忠別越え

 可憐な花が突風にもめげないでいるのを見ると励まされる。タカネオミナエシ、ヨツバシオガマ、チングルマなどを見つけながら歩く。忠別沼を過ぎると、右手の方に崖が続き、雪渓も残っていた。

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9時45分、平ヶ岳の脇を通る。崖下に群青色の沼が点在していた。秘境のおもむき。

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コーヒーを飲んで身体を温めてから歩く。

        横なぐる風に耐へ行く夏の尾根

 続く高根ヶ原は徐々に登っていき、ひたすら足を前に進ませるだけで通り過ぎる。平たい岩を敷き詰めたスレート平を通過。雨も強くなる。斜めに登っていく。

 11時40分、白雲岳避難小屋。2階の16~18の番号に座る。身体一つのスペースだった。2階だけで33人泊まれる。水場は30m先と言われたが、とんでもない距離。冷雨の中、ロープに沿って降りて確保。ラーメンを食べた後、一休みする。

 夕食時、明日の行動を決めるのに情報を集める。旭岳温泉へのゴンドラは工事中。黒岳方面のリフトは風が強いと運行しない。明日の天気も回復しそうもない。白雲岳、旭岳登頂は諦め、一番近いルート、赤岳を登って銀泉台に降りることにする。

          大雪や三笠新道熊の道

             大雪山赤岳(2078m)

地図:国土地理院1:25000層雲峡、白雲岳

   昭文社・山と高原地図③大雪山

 7月25日(日)                                            

 3時30分、仕度を整える。ようやく便意をもよおし快通。外は風雨激しい。しばらく様子を見てから歩き出す。小泉岳から赤岳へと広い稜線を歩く。

 5時20分、赤岳登頂。

017.JPG赤岳頂上

 標識と一緒に撮るだけで、雪渓を降りていく。一瞬、バランスを崩して転んでしまう。左足を痛めた。今度はストックを使って、慎重に降りていく。駒草平から第2花園、第1花園と、晴れていれば一帯は花園だが、ガスっていて何も見えなかった。ハイマツとダケカンバ帯を抜ける。

 7時40分、銀泉台。ここから層雲峡観光ハイヤーの下谷さんの車に乗る。大きな蓮が道脇に生えていた。層雲狭を通過、旭川を経由して天人狭のホテル天人閣に行く。我々の同期入社で、退職後、旭川ホテルの支配人をしているMがやって来て一緒に泊まる。まず風呂に入る。岩風呂もあった。浴衣の恰好で日本の滝百選の「羽衣の滝」を見にいく。七段に流れ落ちていた。

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 食事中、Mから旭川とホテル事情を聞く。インドネシアのリゾートホテルでも支配人を経験していた。温泉で温めたせいか足がむくんでしまい、冷やして寝る。

 7月26日(月)

 足のむくみはとれていた。朝食後、Mの車に乗って旭川の「雪の美術館」に行く。

021.JPG

019.JPG雪の美術館

022.JPG氷の回廊

 ビザンチン建築様式の建物で、中に入り螺旋階段で地下に降りていく。氷の回廊を通り、音楽堂に入る。天井には「北の空」が描かれていた。ホール全体が白と青の世界だった。Mと軽く食事をとってから、旭川駅で別れる。

13時半、ライラック号に乗って札幌に向かう。札幌で新千歳行きに乗り換える。

16時40分、羽田行の飛行機に乗って帰る。

おわりに

 後半は風雨の中の山行となった。当初、エスケープルートとして化雲岳から天人峡温泉に降りていくことを予定していたが、問題なかったので通過。しかし翌日には天候が悪化、白雲岳避難小屋から最短ルートをとって下山した。大雪山には夏と冬しかないと言われるが、夏でも残雪があり、風が強いと体感温度は零度以下になる。

今回、アイヌの人がカムイコタン(神の住む場所)として崇めてきた山を歩いて来た。

 彼らは「山(キムン)は山の神(カムイ)が支配する場所。熊は山の神からの授かり物」と信じている。熊の他、人間が作れないものは全て神の所有物で、それを感謝していただき、その魂を天に送り返している。いわば、エコロジーが身についている。

大雪山系に限らず、山は天候次第で天国にも地獄にもなる。去年から本格的に山を始めたが、多くのことを学び、山の奥深さを体感できた。


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