グランパの日記Akihata's Diary [登山mountaineering]
薩摩富士巡り
1.2000年5月8日 ~9日
2.交通:羽田JL393便(08:30―10:10)
バス:鹿児島空港―山川桟橋¥2400
3.宿泊:国民宿舎「かいもん荘」(2007年閉館)
4.施設:フラワーガーデン¥1200
5月8日(月)快晴
6時30分、前日に購入した携帯電話を胸ポケットに入れて出かける。
7時40分、羽田でチェックイン。機内には高齢の登山客が多い。スランバーマスクに耳栓をして休む。着陸前のベルトサインがつく迄グッスリ休む。鹿児島空港に着いて山川桟橋行きのバスを探す。
10時5分、空港案内所で聞いて指宿行き乗場に向かう。切符を買って乗り込んだ途端出発してしまう。高速に入ってしばらくしてから止まり、空港迄戻る。20分発のところを早発してしまった。13人乗ってくる。 バスは幾つかのトンネルを通って鹿児島に行く。
11時過ぎ、皇徳寺で1人降りた。この辺は住宅街、マンションも多い。日差しが強く、道端に花が咲き、新緑がまぶしい。市内に入り、産業道路を走っていく。港に近い卸団地で8人降りていった。 テトラポットより大きいのを作っている。
大東エンジニアリング、IHI等の工場が続いた後、海岸線を走る。日石石油基地の近くに中名駅があり、その前でビジネスマンが降りていく。同乗の客も少なくなってきた。
広島で22歳の孫の出来ちゃった結婚に参列してきた老夫婦がいる。御殿場の妙見堂住職夫婦は、指宿を観光した後、隼人の妙見温泉に泊まる。岩崎ホテルを通り、山川駅で止まる。ここは日本最南端の有人駅だった。
12時33分、開聞行きJRバスが出る。県立山川高校が丘の上に建ち、そこを過ぎると客も少なくなっていた。空港から一緒で前に座った年配の人は93歳、曾孫の節句祝いの為、群馬、栃木を旅して羽田まで送ってくれた。徳光で降りていく。
フラワーガーデンでバスを降りて、時間をつぶす。入場料を払って歩いていくと、オランウータンを連れた飼育係りの女性に会う。
入り口の門ではオウム2羽に上から迎えられる。開運をよぶ白蛇やサボテン、フラミンゴ、猿、金魚を眺める。
13時30分、チンパンジーショーが始まる。さっき会ったチンパンジー「ミッキー」が棒高跳び、ダンクシュート、クッキング、裁縫を演じていた。15分で終り、しばらく園内を歩く。海岸に出ると開聞岳が右手にどっしりと構えていた。左手に長崎鼻の灯台が見える。長崎鼻は薩摩半島の最南端だった。
開聞は「海門(かいもん)」から名づけられているようだが、日本から東南アジアに向かう時の空の通過点でもある。赤い小型バスに乗り、開聞温泉前で降りる。150mほど奥に行くと古ぼけた共同浴場がある。中には老男老女がつかっていた。入らずに海岸を歩く。波打つ音が気持ち良い。トンビが大きな羽を伸ばして悠然と頭上を飛んでいた。
海鳥が沖で海面に突っ込み魚を捕っている。浜辺では鳥の足跡が残り、その近くに魚のハラワタだけ消えた死体が残っていた。
15時30分、裏から国民宿舎「かいもん荘」に入る。304号室に入ったところで携帯電話が鳴る。携帯を持ってはじめての受信。鹿児島のKさんからだった。産後、産婦人科に行っていた。明日、下山後、会うことにする。
外に出て散歩。明日のためにバス停留所を確認し、さつまいもやカボチャ畑を通る。川尻小学校を過ぎると酒屋があった。薩摩焼酎「薩摩の香り」を買い、雑貨屋で明日の登山に備え、水と行動食を買う。魚が豊富なせいだろうか、猫が多い。宿舎に戻って露天風呂に入る。鉄分が多い。開聞岳を近くに眺めながら湯につかる。
五月晴れ開聞浮かす温泉湯
露天風呂山をかぶせしよしずばり
18時、食堂で夕食。食後、部屋でテレビを観ながら寝てしまう。深夜、テレビの音で目を覚ましスィッチを消す。夜空に飛行機の赤い光が点滅しながら通り過ぎていく。闇夜に開聞岳の形が見え、波の音しか聞こえなかった。いよいよ明日、東南アジアに向かう航路から良く眺めていた山へ登るので寝つけなかった。
開聞岳(922m)
地図:国土地理院1:25000開聞岳、長崎鼻
昭文社・山と高原地図58霧島・開聞岳
5月9日(火)
6時、目覚まし時計で起きる。小鳥の鳴き声が波の音より姦しい。朝食をとり、テルモスにお湯を入れておく。
7時21分、赤いJRバスに乗り、運転手の直ぐ後ろに座る。初老の男性がリュックを背負って乗ってきた。奥さんが見送っている。指宿で落ち合うという。新潟三条市の「おいらく会」事務局長をしており、千メートル台の山を登っている。往復必ず同じルートをとり、調子が悪い時は留まり、戻るようにしている。運転手曰く、今月中旬でこのルートの運行は廃止される。これだけ少ない客では、廃止も仕方がない。
7時半、開聞中学前で降りる。ここから山が二段構えになっているのがわかる。
自動車道を歩いて20分、ふれあい公園の中にある登山口に出る。斎藤茂吉の歌碑が建っていた。
開聞は園かなる山とわたつみの中より直に天に聳えけれ 斎藤茂吉
アオキ、イヌビワ、サカキ、モミなどの常緑広葉樹林の中を徐々に登っていく。途中、山猫に出会う。45分後に5合目通過。苔が樹木を覆っていた。
6合目あたりから岩が出てくる。9時、ベンチのある7合目を過ぎると、大岩が積み重なってくる。
この山は885年の噴火でコニーデ型の火山の上にトロイデ型の火山が重なって出来ている。この辺からトロイデ部分のようだ。ハゼの木だろうか低くなった樹間から太平洋が見えてくる。
時計回りに巻いて登り、山伏の修行場である仙人洞を過ぎ、岩場を登る。鳥居と祠があった。
9時50分、開聞岳登頂。
池田湖や鰻池は良く見えるが、対岸の大隈半島になると霞んでいた。77歳のハイカーは今朝、鹿児島から自家用車でやってきた。他に、沖縄で失業し、千葉の実家に単車で帰る途中の青年は、この後、宮崎に出てフェリーに乗るという。ここには枚聞(ひらきき)神社奥宮の祠と鳥居、そして昭和63年7月20日に皇太子殿下が登頂された記念の碑があった。石碑は開聞岳の形をしている。
オニギリにお茶で腹ごなししてから降りる。枕崎に行く途中の町「えい」の小学生が登ってきた。
開聞岳遠足の列続きをり
最初の3人から30分の間隔で続いていた。5合目で一息ついていたら、赤ヘルメットをかぶり、リュックの下に小さなバケツを下げた青年がやってきた。京大大学院生で、桜島と開聞岳の火山活動調査をしている。手には土を掘り起こす道具を持っていた。885年の爆発で現在の山容が出来ているが、その後の爆発は起きていないと言う。
11時40分、登山口に戻る。水を補給していたら、中年ハイカー夫妻がいて、山川駅に帰るところだった。松戸の自営業者で登山暦7年、既に百名山を58登頂している。一緒に歩いていく。バス停の前のお墓は立派な上、花が供えられていた。山川駅行きバスに乗ったら、朝のバスに乗っていた高校生に会う。学校帰りで、卒業後は働きに出るという。
山川駅、12時45分発。西鹿児島駅、14時15分着。中央郵便局に向かう。白髪の女性が私の名前を呼んでわかった。Kさんのお母さん。バスで来ると思っていたらしい。赤ちゃんは姉が面倒見ている。まず長島美術館に向かう。途中、お墓を通る。ここも花で一杯。美術館からは桜島を一望できた。館内には焼き物、大島紬が展示されている。次に南に走る。ラサール高校を通り、大きなレストランに入り、キビナゴの天ぷらとケイハン(鶏飯)を食べる。食事中、Kさんの名前のことが話題になる。ご両親が熱心なキリスト者及び教育者で、聖書の詩篇23編に「いこいのみぎわ」とあり、そこから「みぎわ」と名づけた。久しぶりにキリスト教の話になる。復活の意味が解けたようだ。イエスは神の道に化けたのだ。
道化なるキリストの春復活せり
再び街に戻って、念願のドバラダ門の前に立つ。
鹿児島刑務所の門。高校同期生が「ドバラダ門」という本を書き、ここでピアノを弾いている。彼の祖父が建築家で、日本の5大監獄を設計、その内の一つ。その刑務所だったところが、今はアリーナになっていた。近くの甲突(こうつき)川は7年前に堤防が決壊しており、堤防が頑丈かつ高く築かれていた。
次に西郷隆盛像の前を通る。上野公園とは違って太い眉が凛々しく跳ね上がっていた。車が止まったところは、隆盛が城山で立てこもった洞窟だった。
薩摩切子の店では桂石から七色の作品に仕上がるまでの経緯が展示されていた。最後に島津別邸、神社、尚古集成館、フランシスコ・ザビエル上陸記念碑を周っていく。桜島を車内から眺める。噴煙は見えなかった。
18時20分、2人に挨拶して空港行きのバスに乗る。棕櫚の並木を通って空港へ行く。未だ陽が落ちていない。
20時にチェックイン。JL398便はB777機材。機内でぐっすり休んだ。
Kaimondake(2544m) in Kagoshima pref.
100Famous mountains in Japan
1.Access:Airport→Yamakawa station→KaimonTozanguchi by Kagoshima koutuu bus(0993-22-2211)
2.Information:Kaimon tourist center (0993-32-2677)
3.Season:Jan to Oct, Aug to Dec
Records:May9
7:50-8:40 Walk from gate(in Fureai park160m)and climb to 5th stage(520m).
8:45-9:10 Climb to 7th stage(about680m).
9:10-9:50 Climb to peak. There is momument of prince Naruhito.
10:15-11:40 Back to starting point.